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認知症について


認知症とは認知症の特徴認知症をきたす疾患
治療可能な痴呆アルツハイマー型認知症について認知症の治療


認知症とは

 認知症は成人になってから起こる記憶や知能の障害です。高齢になると、正常の人でも忘れっぽくなりますが、知能や判断能力は正常なために社会生活に支障を来すことはありません。しかし、認知症では日常生活ができなくなるほどの極端な記憶障害や知能障害も生じてきます。

我が国の65歳以上の人口が総人口に占める割合、すなわち高齢化率はここ50年間で世界でも類を見ないスピードで増加し、2005年には20%、2007年には21%となり、超高齢化社会に突入しました。この高齢化と比例して認知症を患う方々も増加し、2020年には300万人を超えることが予想され、認知症への対応が社会的にも大変大きな問題となっています。

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認知症の特徴

 老人の認知症は物忘れが特徴ですが、最近体験したことのすべてを忘れたり、物忘れがひどくなり時間や場所に対する見当課が障害され、計算能力や判断力、思考能力などがどんどん衰えて行きます。また物忘れしていることが全く自覚できなくなります。このような症状を認知症の中核症状といいます。さらに進行すると精神が混乱状態に陥り、徘徊や夜間せんもう、被害妄想、幻党など、認知症の周辺症状がひどくなってゆきます。


認知症をきたす疾患
  • 脳変性疾患
    アルツハイマー型認知症(老年期認知症)、レーピー小体病、パーキンソン病、ピック病、ハンチントン舞踏病、進行性核上麻緯、多発性硬化症、特発性正常圧水頭症など

  • 脳血管障害
    脳内出血や脳梗塞、多発性脳梗塞、くも膜下出血、ビンスワンガー病、アミロイド血管症、もやもや病、脳動静脈奇形など

  • 頭蓋内腫瘍
    原発性脳腫瘍、癌の転移性脳腫瘍

  • 頭部外傷
    脳挫傷等による外傷後遺症、慢性硬膜下血腫、外傷性正常圧水頭症

  • 感染症
    各種脳炎および髄膜炎、梅毒、クロイツフェルトヤコプ病、亜急性硬化性全脳脳炎、進行性多巣性白質脳炎、エイズなど

  • 中毒性疾患
    アルコール中毒、バルビタール中毒、重金属による中毒など

  • 代謝性疾患
    肝臓障害(肝性脳症)、ウィルソン病、ポルフィリン症、尿毒症、高Ca血症、低血糖症、癌の遠隔効果など

  • 内分泌疾患
    甲状腺機能低下・亢進症、アジソン病、クッシング症候群、脳下垂体機能低下症、副甲状腺機能低下・亢進症、低血糖症など

  • 低酸素性痴呆
    貧血、うっ血性心不全、慢性肺疾患、一酸化炭素中道後遺症など

  • ビタミン欠乏性痴呆
    VB12欠乏(悪性貧血)、VB1欠乏(脚気、ウェルニッケ脳症)、ニコチン酸欠乏(ペラグラ)など

 上記の中で最も多いのがアルツハイマー型認知症で、約50%を占めます。ついで20%余りが脳血管性認知症です。

また、最近ではレーピ小体型認知症も20%弱にみられ、比較的多い認知症です。従来、本邦では老年期認知症の過半数を脳血管性認知症が占めていましたが、最近では超高齢化社会の到来とともにアルツハイマー型老年認知症の比率が増えています。しかし、血管性認知症の患者数そのものも増加しており、治療や予防が可能になりつつある現在血管性認知症の増加を阻止する努力が一層求められています。また、治療可能な認知症を見逃さないようにすることも大切です。

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治療可能な痴呆
  • 脳血管性認知症
    脳血管性認知症は脳血管障害の中でも、特に脳梗塞が原因になることが多い。血管障害の約3〜4割が認知症を呈すると言われています。また、血管性認知症では高齢になるに従って多くなり、小さい梗塞巣が多発することによりおこりやすいと言われています(多発梗塞性認知症)。動脈硬化を防ぐ食事療法や血圧のコントロールが大切です。

  • 脳腫瘍
    認知症だけを呈する腫瘍の多くは、前頭葉にあることが多いと言われています。脳室や脳脊髄液の循環路を閉塞する腫瘍では、水頭症を併発し、その結果、認知症を起こすこともあります。

  • 正常圧水頭症
    クモ膜下出血や脳出血、頭部外傷後数ヶ月から、場合により数年後より記憶障害(認知症)、歩行障害や尿失禁などが出現することがあります。これはクモ股下腔における髄液の吸収障害に基づいて、頭蓋内圧亢進を伴わずに脳室が拡大して水頭症を起こすものです。また、何ら原因となるものがなく、水頭症をきたすことがあり、これを特発性正常圧水頭症と呼ばれます。脳室短絡術を行うと著しい症状の改善がえられることがあり、各種認知症の鑑別上大切です。

  • 慢性硬膜下血腫
    ころんで頭部を少し打撲するなどの軽度な頭部外傷(高齢者では外傷に気がつかない場合も多い)の既往があり、1〜2ヵ月後より頭痛、吐き気、嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状や認知症を来すことがあります。これは脳を被っている脳硬股の下に血液が徐徐に貯留して脳を圧迫するために起こってくるものです。治療は局所麻酔下で頭部に穿頭術を行い血腫を除去します。発見が遅いと認知症の改善が得られなくなりますので早期発見が大切です。

  • 仮性認知症
    うつ病では、抑うつ感悄に加え、行動面に種々の抑制がみられます。表悄が乏しくなり、動作が緩慢になり、注意力や判断力も低下し、一見認知症のように見えます。これを仮性認知症といいます。パーキンソン氏病に合併したりします。仮性認知症は真性の認知症とは異なり、抗うつ剤などで改善しますので注意が必要です。

  • その他の治療可能な疾患
    感染症(真菌性髄膜炎など)、中毒性疾患、代謝性疾患、内分泌性疾患、低酸素性認知症。ビタミン欠乏性(VBI、VB12、ニコチン酸など)認知症などでは原因となるものを治療することで認知症の改善が期待できます。


アルツハイマー型認知症について

 20世紀の初めドイツの医学者であるアルツハイマー博士によって、40才代で発症した異常な進行性認知症症例が報告されました。死後解剖したところ脳の神経細胞が何らかの原因によって脱落し、著しい脳の萎縮が発見されました。このような認知症を報告者の名前をとってアルツハイマー氏病とよんでいます。病理学的には脳の神経細胞が消失、減少し、主に大脳皮質が萎縮しています。また老人斑とよぱれる沈着物や神経原繊維変化(神経原繊維がよじれて束になること)がみられるのが特徴です。その後、発症年齢が40才後半から65才くらいまでの比較的若い年齢層に認知症がみられる場合をアルツハイマー氏病、あるいは初老期認知症とよばれるようになりました。また65才以上で発症したものをアルツハイマー型老年認知症と区別されていました。しかし、最近の研究により、老年期に発症したものと、初老期に発症したものでは本質的には同じ病気であるとの考えから、アルツハイマー氏病とアルツハイマー型老年認知症をあわせて、アルツハイマー型認知症と呼ぶようになってきました。

アルツハイマー型認知症の原因、病態は十分には解明されていませんが、近年、老人班はアミロイドベーダ蛋白、神経原繊維変化は高度にリン酸化されたタウ蛋白で構成されていることがわかっています。そして、アミロイド前駆体物質が遺伝子変異や危険因子などにより不溶性のアミロイドベーダ蛋白となり脳内に沈着し、神経細胞に炎症、変性をおこし、最終的には神経原繊維変化から神経細胞死をきたすと考えられています。

これはアミロイドカスケード説といわれ、現在最も多く支持されています。この神経細胞死は当初、短期記憶を担う海馬周辺から始まり、次第に脳全体に広がって認知機能障害が強くなってゆきます。最近では早期認知症を発見、診断し、早期治療を開始するために様々な診断方法が開発されつつあります。従来より行われているMMSE、長谷川式認知症テストや脳波検査をはじめ、MRI検査、SPECT、PET検査、髄液検査によるアミロイド蛋白、タウ蛋白の定lilなどのほか、アミロイドの画像化(Amnoidlmaging)なども試験的に行われています。

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認知症の治療

 認知症の治療に閔しては、認知症リハビリや薬物療法が行われています。アルツハイマー型認知症は現在医療保険ではリハビリを行うことは認められておりません。平成21年4月より介護保険を用いた通所リハビリ施設などで短期集中認知症リハビリが3ヶ月間のみ認められるようになりました。これらには回想法、音楽療法、芸術療法あるいは園芸療法などがあります。リハビリを行うことにより認知症が改善することがわかっています。

薬物療法としては、アセチールコリンエステラーゼ阻害剤である塩酸ドネペジルが現在国内外において多く使われ、一定の効果を上げています。認知症周辺症状に関しては、精神安定剤や抗精神薬が用いられますが、漢方薬も抗精神薬に比べ副作用が少ないため、最近多く使われるようになっています。特に、抑肝散は周辺症状によく効くとされています。また、新しい試みとして、脳内アミロイド沈着を抑制するためガンマセクレターゼ阻害薬やアミロイドベーダ蛋白に対するワクチン療法なども開発されつつあります。

最近、認知症発症に脳血管因子が関わっていることがわかって来ました。すなわち、生活習慣病である高血圧や糖尿病、高脂血症などによる動脈硬化を中心とした脳血管病変から脳の虚血を生じ、そして脳の白質病変から脳神経細胞死を引き起こし、脳血管性認知症をきたすとともに、一方ではアルツハイマー型認知症発症の大きな危険因子ともなっていることです。従って、血管性認知症の危険因子となっている生活習慣病の予防はアルツハイマー型認知症を予防するという意味でも大変重要なことです。

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